福原愛・江宏傑の子どもの親権争いと面会交流

■面会交流中の連れ去りだったのか?

卓球少女の「泣き虫愛ちゃん」で親しまれていた福原愛さんが、大人になってこんなニュースになるなんて誰が想像していたでしょうか?

福原愛さんは江宏傑さん(ジャン・ホンジェ)と2016年9月に国際結婚、活動拠点を台湾に移してして生活。その間、2人の子どもにも恵まれてSNS等では幸せな家族ショットなどを投稿していましたが、5年後に離婚することに。

離婚理由は夫や家族からのモラハラが原因だとネットのニュースには書かれていますが、私は「国際結婚」ならではのご苦労があったのではないかと推測しています。

なぜなら、私自身が国際結婚で夫との文化や考え方の違いにストレスがあることを知っているし、カウンセラーとして国際結婚のご相談に対応していると共通の悩みを多く聞くからです。

厚生労働省による「 人口動態調査 」によると,国際結婚した夫婦の離婚率は約60%にもおよびます。これは日本人同士の夫婦と比べて倍近い数値となります。
言葉の違いや価値観や文化の違いは思っていた以上にいろいろあるし、それらがストレス要因になりモラハラも引き起こしていたのかもしれません。

離婚原因はさておき、お子さんの親権争いがニュースになっています。
面会交流を支援している団体としては、放っておけないニュースです。

昨年7月、面会交流のため、福原さんが日本に連れて来ていた第2子の長男を夏休みが過ぎても台湾に帰国させることなく、連絡が取れない状態にしたとして、江氏が日本外国特派員協会クラブで20023年7月に記者会見を開きました。
江氏は、東京家裁が長男を江氏側に引き渡すよう審判が下ったことを主張。それに対して、福原側は日本国内の司法の手続きは未確定であるとしています。

そもそも長男を日本に連れてきたことには合意があったのではないかとネット記事などでは読み取れます。そう考えると連れ去りではないと思います。
長女も一緒に日本に連れて帰り、夏休みの面会交流できるはずだったのに、なぜか長女にはあわせてもらえずに1人だけ日本に連れていくことになったようです。

■離婚後の共同親権

福原さんと江さんは離婚時に「共同親権」を選択しています。
これは日本にはない法制度です。
日本の離婚では離婚時に両親のどちらかが親権を持ち「単独親権」になります。

共同親権を選べるのは、離婚時の親権争いを避けるためには有効ですが別れた夫婦が共同で子育てしていけるのかは現実的ではない気がします。
だから、今回のような面会交流における両親の意見のすれ違いが起きているのではないでしょうか?

共同養育や面会交流についての元夫婦の認識の違いにより、小さなすれ違いがきっかけで紛争にまで発展しているような気がします。

今、日本でも共同親権を推進する流れがありますが、こういった紛争を見ていると共同親権になったからといって別れた夫婦が穏やかに共同養育するなんてできないんだなと思います。
共同親権を進めるにあたっては様々な議論がありますが、いい面ばかりを見ずに懸念される面をしっかりと考慮して、起きうる問題の対策を考えた上、必要な支援機関の設置や教育の推進などが先に必要になってくると思います。

■国際結婚の離婚と連れ去りの問題

「ハーグ条約」を皆さんはご存じですか?

国際結婚が破綻した際の子どもの扱いについて定められていて、親権や面会権を確定しないまま、無断で16歳未満の子どもを国外に連れ出す行為を不当とし、元の居住国への帰還を求められることになっています。「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」の通称です。国際結婚をしているとハーグ条約は外せない知識になります。

外国への子どもの連れ去りは,子どもにとって生活環境が突然急変するのみならず,他方の親や親族・友人などとの交流が断絶され、異なる言語文化環境にも適応しなくてはならなくなるなど子どもにとって有害な影響を与える可能性があるためハーグ条約は定められています。

しかしながら加盟国も限られていて、2023年の加盟国一覧はこちらになります。
https://www.jpo.go.jp/system/design/hague/hague_ichiran/document/index/members.pdf

こちらを見るとわかるように台湾は加盟国ではありません。
それを知っていて、福原さんが意図的に息子を連れ去りしたという説も言われています。
実のところはわからないのですが、去年の夏休みの子ども達との面会交流を日本で過ごす約束で、上の子が来なかったので、下の子だけ連れて日本に帰国。上の子が来なかったことや今後の子ども達の養育のことで夫婦の意見が合わずに、関係性がこじれにこじれて今回の件に至っているのではないかなと私は思いました。

福原さんの件はさておき、面会交流支援団体としては面会交流中のお子さんの連れ去りはもっての他です。面会交流する親はきちんとルールを守り、誠意をもってお子さんのためにいい面会交流をしてほしいと思います。

新川てるえ