第三者機関での面会交流におけるトラブルとその解決方法

面会交流の支援をお引き受けする条件

私たちが第三者機関として面会交流のサポートの依頼をお引き受けするときの条件は

1.面会交流を行う合意があること
2.面会交流を第三者機関を利用して行う合意があること
3.上記の料金の負担割合が決まっていること
4.面会交流の頻度が決まっていること
5.第三者機関の指導に従って面会交流を行うという理解があること

になります。

その他に、面会交流の実施場所・プレゼントや写真撮影についてなど、支援機関としては詳細に決めておいてもらった方がよいことがありますが、決めていない場合には当団体の規約に従ってもらうことになっています。

団体規約では
1.プレゼントは誕生日やクリスマスなどの記念日のみとする。
2.写真やビデオ撮影については禁止とする
3.祖父母の面会交流は禁止とする

となっています。

このような規約は、これまでの支援経験を経て徐々にでき上ったものです。
それはあまりにもトラブルが多かったからです。

プレゼントについては会うたびに何か物を渡される。子どもはお父さんとは物をくれる人という認識になっていくというような心配やクレームが多く、子どもの教育上も良くないと思ったので改訂されました。

しかし、プレゼントにしても写真やビデオの撮影にしても、たまにお子さんに会える親御さん側からしたら制限されたくないと思う気持ちもあるようです。
後日、トラブルにならないように取り決めをしておくことをお勧めしています。
写真やビデオに関してはSNS等、インターネットに投稿しないなどを理由に承認しているご家庭もあります。

支援開始後におこりうるトラブル

調停や審判で先に取り決めがあっても、実際に面会交流が始まると不満や不服が出てくるのがこの支援の難しいところです。

もともと元夫婦が紛争を経て、面会交流の第三者機関を使う流れになっているのでお互いに信頼関係が全くありません。

面会中に別居親がこんなことを子どもに言った、やったというようなクレームは日常茶飯事です。

例えば、離婚理由にDVやモラハラがあって同居親側が住所を隠している場合に「面会中の子どもとお父さんの会話で住所を探るような話題があった」などというクレームは良く言われます。子どもが日常の生活のことをお父さんに話すのは止められないことですし、お父さん側もそんな意図がなく子どもの話を聞いているだけということのほうが多いのに、過剰に不信感を持って、面会のあとにお子さんに話を聞きだしているというような悪循環も起きています。

支援側としてはそのあたりは注意を払って見守っているつもりなので、あまり不信感を持たずにお任せいただきたいところです。

時間の延長や場所の確定についてもたびたび意見があわないというトラブルが起きます。基本的には面会場所が重要ではなく、親子が定期的に面会交流していけることを目指すのが我々の支援ですので、できるだけ一定の場所を決めておくのが望ましいという提案をさせていただいています。

支援開始後のトラブルの対応にはADRがお奨め

我々が調整できることには限度があります。面会交流の時間の延長の希望や振替の希望などはお伝えすることはできますが、解決にいたらない場合には再度の話し合いをしてもらうしかありません。

その場合には再度、面会交流の諸条件に関する調停の申し立てをしていただけるようにお話します。

そこで、家庭裁判所の調停よりも私たちがお奨めしているのが民間のADRです。

裁判外紛争解決手続(ADR)」とは?

英語では、「Alternative Dispute Resolution」(「裁判に代替する紛争解決手段」)といい、頭文字をとって「ADR(エー・ディー・アール)」と呼んでいます。
裁判によることもなく、法的なトラブルを解決する方法、手段など一般を総称する言葉です。例えば、仲裁、調停、あっせんなど、様々なものがあります。

面会交流のトラブルでは民間が行う「調停」になります。当事者の間を調停人が中立的な第三者として仲介し、トラブルの解決についての合意ができるように、話し合いや交渉を促進したり、利害を調整したりします。

なぜ民間のADRのほうがお奨めなのかというと、時間の短縮が図れるからです。継続的な面会交流がトラブルになって面会交流がまた停止、調停手続きを改めてとっていると話し合いが開始されるまでにまた時間がかかります。

ADRであれば当事者間の都合にあわせて、土日祭日や夜間も話し合いが可能です。調停よりも早く行われます。
最近は家裁の調停もZOOMを利用することもあるようですが、ADRではZOOMを利用したオンライン調停が9割で行われています。どこに住んでいても遠方でも話し合いが可能なのもメリットです。

面会交流の第三者機関にはADRを持っている団体もありますが、我々は独自ではADRを運営していないため、「家族のためのADRセンター」と業務提携しています。

家族のためのADRセンター
https://rikon-terrace.com/