「共同親権」が実施されるとどうなるのか?
前回、共同親権の可決を受けてコラムを書きました。
【朝日新聞取材協力】共同親権と養育費・面会交流
2年後に施行されるであろうと言われている法案ですが、詳細は不明確な部分が多く施行にむけて少しずつ話し合いが行われているであろうという現状です。
ここにきていくつか新しい情報があるのでお知らせしておきます。
1.共同親権が施行されたら、「一般的には共同親権とすべき」という原則、共同親権という流れになるのではないかという不安について
裁判所の判断の一般的な考慮要素としては「子の利益のため、父母と子の関係、父と母との関係の他一切の事情」が挙げられたうえで、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときには一方を親権者と定めなければならないことになっています。(DVやモラハラ離婚などはこれに該当しますし、高葛藤で共同の育児ができない場合にもこれに該当します)
さらに「当該協議の経過を考慮する」ということで、これは協議離婚時に、支配関係があるなかで合意してしまった場合では、それまでの過程を踏まえて、事後に柔軟に親権者の変更ができるようにという趣旨です。
2.親権でもめた場合には離婚が先延ばしになる?共同親権施行まで離婚しぶりが起きる?
離婚について合意があれば、親権者について合意できない夫婦は離婚を先行させることが可能です。
親権者の指定を求める家事審判、または家事調停の申し立てがされていれば離婚届けが受理されることになりました。
3.親権行使に関するすれ違い
共同親権になると子どもに関わることを、別れた夫婦が親として相談して決めていかなくてはならないとされていますが、監護教育の細かいことまで共同行使は現実的ではないため、「日常の行為」については、一緒に暮らしている親が単独行使できるとされています。ただし、「日常の行為」が何なのかはまだ明示されていません。
4.養育費の履行確保について
今回の改正法では「法廷養育費制度」が新設されています。
子どもの監護をする親から、離れて暮らす親に一定額を請求できるという法律です。
養育費を定めずに離婚した場合であっても請求できるという法律なので、これまで養育費をもらっていない養育親も利用できるようになり、養育費の支払い率が向上するかもしれません。
「一定額」についてはまだ明示されていません。
5.親以外の第三者と子どもの交流について
改正法では、子の利益のために必要がある場合には父母以外の親族との交流を家庭裁判所が定めることができるとされました。
面会交流の支援の現場では、祖父母の面会交流はこれまで原則は禁止としてきましたが、法律の改正を踏まえて、当団体でも祖父母の面会交流の料金設定を別途行っています。
また、共同親権施行までは長引く親権の話し合いによって調停や審判中の面会交流支援も増えるものと考えて、サポート体制を整えています。
私たちおやこリンクサービスでは、共同親権の法改正を踏まえた支援を行っていますので、紛争中の試行面談などのご依頼もお気軽にご相談ください